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TOP>組織>事業担当者>研究紹介 - 上村 松生
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研究紹介 - 上村 松生

上村 松生(植物生理学)
uemura@
岩手大学大学院連合農学研究科・教授
岩手大学農学部附属寒冷バイオフロンティア研究センター・教授

拠点リーダー(プロジェクトの総括)
熱に対する生物の生存戦略メカニズム
- 植物生存戦略(傷害回避)の分子機構 -

a) これまでの研究内容

1. 細胞膜に着目した植物の低温馴化及び凍結傷害発生の分子機構の解明

植物細胞における凍結傷害の初発部位である細胞膜に着目して研究を行っている。これまでに、1)低温馴化過程において細胞膜脂質、及び、タンパク質組成が大きく変動し、凍結脱水下での膜の安定性増大に寄与していること、2)遺伝的最大耐凍性が異なる植物種間でも細胞膜成分が大きく異なり、これらの差異が凍結脱水下での細胞膜安定性と相関していること、3)適合溶質の蓄積は浸透圧調節だけでなく凍結脱水による膜機能障害や構造変化を防止していること、などを明らかにした。最近、シロイヌナズナの低温馴化過程で変動する細胞膜タンパク質をプロテオーム的解析によって同定することに成功した。ついで、それらのタンパク質を過剰発現させた形質転換体を作成し、低温馴化で応答して増大する細胞膜タンパク質のin plantaにおける機能評価を行ったところ、Lipocalin様タンパク質とデハイドリンの一種(ERD14)が、比較的高い温度で発生する特定の凍結傷害機構発生を押さえ、その結果、植物体の耐凍性を増大させることを明らかにした。

2. 耐凍性増大過程における低温誘導遺伝子の関与機構の解析

ミシガン州立大学Thomashow教授との共同研究により、低温誘導性遺伝子COR15aにコードされる葉緑体ストロマタンパク質COR15amは、1)凍結に伴う脱水過程において葉緑体包膜の内膜(非ラメラ相をとりやすい糖脂質、モノガラクトシルジアシルグリセリドを多く含む)と相互作用する、2)葉緑体包膜内膜の非ラメラ相を形成する確立を減少させる、ことが明らかになった。本研究結果は、低温誘導遺伝子が直接耐寒性を増大させる分子機構を明らかにしたものである。

3. 植物有用遺伝子資源の収集と超低温下における長期保存システムの確立

植物細胞の凍結下での生存機構に関する研究成果を利用し、有用遺伝子資源を超低温下で長期間保存するシステムを確立した。数種の花き・果樹の茎頂組織を用いて、ガラス化を基本とする方法により高い生存率を得ることに成功した。他研究機関との共同研究により、この方法は他の植物種においても有効であることが示されている。

b) COEで目指そうとしている研究内容

植物細胞において、寒冷環境下で発生する傷害の初発部位は細胞膜である。従って、植物の寒冷適応機構や寒冷条件下での耐性獲得機構を理解するためには、寒冷下における細胞膜の安定性獲得機構を調べる必要がある。寒冷下における細胞膜安定性に影響を与える要因は数多く存在するが、細胞膜自身の組成の影響が大きい。本研究は、細胞膜タンパク質に注目して行う。

まず、寒冷環境シグナルに応答した細胞膜タンパク質の応答を分子・細胞レベルで解明するため、プロテオミックス的手法を用いて解析する。具体的には、モデル植物であるシロイヌナズナの様々な野生型、あるいは、その近縁種を用いて、細胞膜タンパク質の網羅的解析を低温耐性や低温馴化能と関連させて行い、比較ゲノム機能・構造学的知見を得る。ついで、低温耐性増大過程に応答する細胞内変動(適合溶質蓄積など)を人工的に模倣した実験系を構築し、細胞膜タンパク質を組み込んだ脂質小胞の凍結脱水下での挙動を試験管内で生物物理的手法(蛍光分析、熱分析、電子顕微鏡分析)を用いて調べ、細胞膜内外に起こる低温耐性獲得と関連 した複数の要因の相互作用を調べる。

さらに、モデル植物以外での細胞膜タンパク質組成と寒冷適応能力や寒冷耐性を調べるため、低温耐性の異なる近縁植物(同科、同属、あるいは、同種における異なる系統など)を用い比較検討する。さらに、未だ解析が進んでいない下等植物などについても、寒冷耐性、寒冷傷害分子機構、遺伝子発現プロファイルを調べていきたい。

以上述べられたようなin plantain vitroでの実験結果を総合して、植物の寒冷適応分子機構について考察した例は少なく、有用な新規の知見が得られると考えられる。さらに、寒冷適応に限らず、様々な生理現象に対する植物の細胞膜タンパク質の機能については研究知見が少ないため、本研究によって得られる知見やその手法は、他の細胞膜タンパク質の機能解析に広く利用可能である。

c) 関連リンク
http://news7a1.atm.iwate-u.ac.jp/~crcdbbt/index.htm

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