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【研究紹介】科学教育用気象数値実験ソフト「WEB-CReSS SE (Science Education)」の開発

掲載日2020.11. 9


名越利幸先生2.jpg

教育学部 理科教育科
教授 名越 利幸
【理科教育】

気象学には、大気科学、環境科学、防災科学、情報科学の四つの側面があります。特に、気象学における情報科学の側面は、他の科学領域の中でも、スパコンを利用した天気の数値予報やアメダス・気象衛星画像のデータ取得システムなど、最先端を進んでいます。天気の数値予報では、大気科学の基礎方程式を、数値積分し解を得て、それを様々な形でグラフ化しています。今日では、1週間先の予報も可能となりました。また、大気は、雲や雨・雪をのぞき、目に見えないので、その流れの可視化が重要です。テレビや携帯端末では、様々な可視化の工夫をして、情報の発信を行っています。

しかし、理科教育においては、スパコンを使用するような数値予報や数値実験は困難であると考えられてきました。そこで、本研究室では、名古屋大宇宙地球環境研究所坪木研究室の研究用に開発された気象数値シミュレーションソフト「CReSS」を用いて、中学生が容易に数値実験の条件設定ができるような入力インターフェースを作成し、本格的な数値実験による対照実験が可能な科学教育用気象数値実験ソフト「WEB-CReSS SE」を開発しました。

本ソフトは、通常のWindows PC上で駆動し、CPUとフラッシュメモリーのみを利用、出力もSDカードに書き出すこととし、使用後はもとのPCとなります。トップ画面は、図1のようで、中学校理科気象領域で学ぶ、台風、温帯低気圧、海陸風、寒冷前線、積雲対流の5つです。例えば、台風において、現実の実験結果と異なる海面水温を±10℃変化させたり、日本列島の陸地をなくしたり、全て海面にすることで、台風がどのような振る舞い(進路や規模の変化)をするかを調査することができます(図2,図3)。言い換えれば、「台風」の大がかりな対照実験が可能となります(図4)。

  • 図1.jpg図1 「WEB-CReSS SE」のトップページ(右上に岩大と名大のロゴ)

  • 図2r.png図2 「台風」シミュレーションの結果例

    • 図3.gif

      図3 設定(陸地で標高有り・無し,陸地無し)の結果例

    • 図4r.png

      図4 寒冷前線の授業風景(教育学部附属中学校にて)


本ソフトのような企画がないか、数年前ワシントンにある米国気象学会教育セクションのチーフとお会いし情報交換しました。米国でもこの様な企画がない旨を伺ったので、世界初の試みです。今後、日本において本ソフトが普及することを期待しています。今後、岩手大学理科教育科のHP、名古屋大学坪木研究室のHPで公開し、ダウンロード(約20GB)可能とする予定です。
※本ソフト開発は、「科学研究費」17K04837・20H01666研究代表者:名越利幸によるものです。Ver.3をもって完成し、HP公開します。