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【プレスリリース】全遺伝子発現解析で元の細胞の性質を残した無限分裂細胞作成法が明らかに

掲載日2020.12.14


  • 福田先生.png

理工学部生命コースの福田智一教授、学部4年古谷凱、高橋耕平(元大学院生)、折本愛特任助教、菅野江里子准教授、冨田浩史教授、国立がん研究センター先端医療開発センターの清野透プロジェクトリーダー、ロート製薬株式会社の研究グループは、ヒト毛乳頭細胞から、複数の無限分裂方法*1で細胞を作製し、元の細胞の性質を最も保持した無限分裂細胞の作成法を明らかにしました。SV40*2やヒトパピローマウィルス由来のE6E7*3のような癌遺伝子を使う従来法と、変異型サイクリン依存性キナーゼ(CDK4)とサイクリンD1遺伝子(CyclinD1)、テロメア逆転写酵素(TERT)を組み合わせた新しい無限分裂細胞を材料に、次世代シークエンサーを使用し、全遺伝子の発現パターンを比較しました。同一の研究材料を出発に、複数の無限分裂細胞を作り、全遺伝子レベルで比較検討した研究は世界初です。本研究では以下の点を発見しました。

  1. 3つの遺伝子(変異型CDK4, CyclinD1, TERT*4)を導入して作出した無限分裂細胞(毛乳頭K4DT細胞)は従来のSV40やE6E7のような癌遺伝子を使用した無限分裂と比較して、元の細胞の性質を最も保持していることを解明
  2. K4DT細胞では染色体が保持されるが、従来の癌遺伝子を利用した無限分裂方法では染色体が欠失や倍加を起こし、不安定になることを発見
  3. 作製した細胞の間で異なる発現をする遺伝子を抽出しパスウェイ解析を行うと、細胞周期およびがん関連遺伝子が最も重要な働きをしていることを発見

無限分裂細胞は、創薬研究はもちろんのこと、ヒトを含めた様々な動物の研究への応用が期待されます。

本研究成果は、Cell Pressが発行する国際学術誌「iScience」に掲載されました。


全遺伝子解析によって得られた三次元PCA解析の結果(動画)は以下からご覧いただけます。
https://youtu.be/vFs1Xu_Onrc

[用語解説]
*1無限分裂方法: 通常の体細胞は、数回の細胞分裂ののちに、「細胞老化」という現象により、細胞分裂が停止する。この細胞老化現象を回避させ、半永久的に細胞分裂を可能にした方法。不死化細胞、株化細胞も同義。
*2 SV40: Simian Virus 40といわれるウィルス由来の癌遺伝子。従来、もっとも無限分裂細胞の作製に汎用されている遺伝子。
*3 E6E7: ヒトパピローマウィルスに含まれる癌遺伝子。ヒトパピローマウィルスはヒトの皮膚、粘膜にイボを作る他、子宮頸部がんの原因ウィルスのひとつとなる。
*4 変異型CDK4, CyclinD1, TERT: 無限分裂細胞を作製できる遺伝子の組み合わせの一つ。変異型CDK4とCyclinD1の発現により、p16というタンパク由来の細胞老化シグナルが無効化され、TERTの発現によりテロメアーゼと呼ばれる、テロメア長修復酵素が発現する。

問い合わせ先:
理工学部 化学・生命理工学科 生命コース 教授 福田 智一 
019-621-6375 tomof009■iwate-u.ac.jp(「■」記号を「@」記号に置き換えて下さい)