研究紹介
【研究紹介】亜熱帯原産のイネを初冬に播く新技術の開発(2/4更新)
掲載日2021.2. 4

農学部 植物生命科学科 教授
下野 裕之
【作物学】
研究概要
新たな作型で農家の大規模化を後押し
コメ作りの現場は担い手の高齢化が急速に進んでいる中,農家一人あたりの経営面積の規模拡大は避けて通れない状況です.イネの栽培で最も忙しい季節は春で,種まき,田植え,田んぼの耕起などが重なり,その作業の効率化が規模拡大のカギとなります.そこで,岩手大学では2008年より作業を分散する新たな作型として,忙しい春ではなく,前年初冬の雪が降る前に種まきを済ませることによって作業分散を実現する研究を進めています.

イネを雪の下で越冬させるためのコーティング法を新たに開発
初冬に播いた種が翌年まで生存する率はわずか数%と低く,初冬直播きを実用技術にするためにはこの生存率を高める必要があります.そこで,岩手大学では鉄を用いた新たなコーティング技術を開発し,生存率を25%以上に高めることに成功しました.目標とする50%の生存率を目指し,コーティング技術の高度化,休眠制御技術の開発,耕起方法の改良など,実用化に向けて多面的に研究を進めています.

研究の状況について
2020年6月29日
暖冬の影響が心配でしたが,今年も初冬直播き栽培で高い出芽率を達成!
2020年5月25日
岩手大学次世代アグリイノベーション研究センター News Letter No.2抜粋
「熱帯原産のイネを初冬にタネ播く新技術」
こちらからご覧ください。
2020年3月9日 全国の実証試験のまとめ(2019年秋収穫)
・2018 年春より「初冬直播き栽培」は、社会実装を目指す農研機構生研支援センターの研究事業に採択され、北海道から福岡まで10 道県11 地点の大学・公的研究機関と連携して試験を進めています。実証試験として初冬に機械播種した初冬直播き栽培の水田の様子(2018年初冬に播種し2019年秋に収穫)をまとめました。実証試験を実施した全地点で成熟まで到達し,春播きと同程度の収量水準を示しました。

2019年6月~ 生育状況について
・雪の下で冬越しした種子が発芽し成長しています。
・順調に育っています。
春播きに比べて、初冬直播きの方が生育が早いです。
・順調に育っています。
播種から越冬して出芽、成長する過程をご覧ください。
・2019年9月30日(月) 初冬直播きイネの刈り取りをしました。
岩手山を望む滝沢農場にて
収穫作業
・2019年11月19日(火) 降雪前にコーティングした種を直播きしました。
種播き作業
研究は続く
記事・ニュース
【農業共済新聞】 2021.2.4(1週号)掲載【NEW】
http://www.nosai.or.jp/mt6/2021/02/post-6164.html
【日本農業新聞】2020.6.14 総合1面で紹介されました。
【産経新聞】 2020.12.03掲載
https://www.sankei.com/premium/news/201203/prm2012030001-n1.html
2020.5.30掲載
https://www.sankei.com/premium/news/200530/prm2005300003-n1.html
2019.10.29掲載
https://www.sankei.com/premium/news/191029/prm1910290001-n1.html
2019.2.10掲載
https://www.sankei.com/region/news/190210/rgn1902100003-n1.html
2018.11.20掲載
https://www.sankei.com/life/news/181120/lif1811200026-n1.html
【朝日新聞】 2020.11.24掲載【NEW】
https://www.asahi.com/articles/ASNCR6QL8NCLULUC035.html
岩手大学紹介番組「ガンダイニング」で紹介されました(R1.10.15)