menu

研究紹介

  • HOME
  • 研究紹介一覧
  • 【研究紹介】養蚕技術を活用して得られたカイコ冬虫夏草から、認知機能を改善する新規...

【研究紹介】養蚕技術を活用して得られたカイコ冬虫夏草から、認知機能を改善する新規物質「ナトリード」を発見

掲載日2021.3. 8


概要

岩手大学発ベンチャーの(株)バイオコクーン研究所は、岩手大学・大阪市立大学・九州大学・岩手医科大学との共同研究により、アルツハイマー病を含む認知症および老化を改善するための世界初の新規物質(ナトリードと命名)をカイコ冬虫夏草(ハナサナギタケ)から発見しました。

ナトリードは、アルツハイマー病も含んだ神経疾患の治療のための新しい戦略になることが期待されます。

本研究成果は、令和3年1月27日(米国時間)に国際学術誌PLOS ONE誌で公開されました。

研究成果

2018年の世界の認知症患者は5千万人で、2050年までに1億5420万人まで増加すると推定されています。2019年のアルツハイマー病型認知症薬の開発で、「132」の化学候補物質が研究されていますが、いずれも成功に至っておりません。(株)バイオコクーン研究所のこれまでの研究で、養蚕技術で育成したカイコハナサナギタケの冬虫夏草抽出液には海馬修復機能があり、ヒト試験(パイロット)も行っています。21世紀はグリア細胞-神経細胞の相互作用の研究に注目すべきで(R. Douglas Fields, 2006)、グリア細胞および神経細胞の個々を標的にするのではなく、本研究もイノベーション的アプローチで進めながら、新しい技術と戦略的な標的を目指すことにしました。

本研究は、カイコ冬虫夏草(ハナサナギタケ)の熱水抽出物から、①ブレイクスルーする候補物質を決定し、②それがグリア細胞-神経細胞の相互作用を調節する機能があり、③マウスの経口投与実験で、脳機能と毛髪の老化を改善しました。④その結果、新規環状ペプチド(ナトリード)は、中枢神経系の疾患の新しい治療薬になる可能性を提案しています。

  • 図1.jpg
  • 図2.png
  • 図3.png
  • 図4.png

用語解説

ナトリード(Naturido):
Naturido は、エスペラント語で"Naturo"は自然、"id"は子供・子孫を意味する接尾辞の合成語として佐藤竜一(作家、宮沢賢治研究家)が提案した言葉。
㈱バイオコクーン研究所 鈴木フェローが、当該環状化合物の可能性に相応しいとして化合物名称に命名した。
※ナトリードは(株)バイオコクーン研究所の登録商標です(登録番号5706136)

カイコ冬虫夏草:
カイコの幼虫やサナギを培地として、野外から採取した冬虫夏草菌(ハナサナギタケ)を育てて収穫したもので、英語ではplant worm という。

グリア細胞:
神経細胞の約10倍存在し、21世紀になって神経細胞の保護から抗炎症作用や栄養因子の供給などの機能が明らかになり、「第2の脳」とも呼ばれている。

アストロサイト:
グリア細胞の一種で、その中でも最も数の多い細胞(約60%)である。日本語では星状膠細胞ともいわれる。その役割は多様で神経細胞の保護、神経伝達物質の取り込み、シナプスのサポートなどがある。

ミクログリア:
グリア細胞の一種で、約10%存在している。脳内の免疫細胞といわれ、アミロイドβを貪食する機能を持つ。

老化促進モデルマウス:
京都大学で確立された実験用マウスで、使用したSAMP8系統は学習・記憶の障害、免疫機能不全の特徴を示すことから、アルツハイマー病型認知症の研究でも世界中で使用されている。
なお、本研究では比較のために正常な老化コントロールとして、SAMR1系統マウスを使用した。

掲載論文

題目:A novel cyclic peptide (Naturido) modulates glia-neuron interactions in vitro and reverses ageing-related deficits in senescence-accelerated mice「新規の環状ペプチド(ナトリード)が、培養したグリア細胞と神経細胞の相互作用を調節し、老化促進マウスモデルの加齢障害を改善します」
著者:
(株)バイオコクーン研究所
鈴木 幸一(責任著者、代表取締役フェロー、岩手大学名誉教授)、石黒 慎一(同等著者、研究部長)、苅間澤 真弓(主任研究員)、江幡 真規子(主任研究員)、シラパコング・ピヤマース(主任研究員)、石黒 裕美(主任研究員)、江幡 順良(研究専門部長)

大阪市立大学 大学院理学研究科
品田 哲郎(同等著者、教授)、西村 栄治(研究員)(現株式会社三洋化学研究所)、保野 陽子(助教)(現九州大学)

九州大学 大学院歯学研究科
武 洲(同等著者、准教授)、倪 軍軍(元助教)、姜 慕舟(博士課程4年生)

岩手大学
内舘 道正(理工学部 准教授)、御領 政信(名誉教授)

岩手医科大学 大学院歯学研究科
原田 英光(教授)、大津 圭史(准教授)

誌名:PLOS ONE
公開日:2021年1月27日(日本時間1月28日)

#本研究への問合わせは、責任著者 鈴木幸一 koichi@iwate-u.ac.jp;koichi@bcc-lab.jpへ.