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週単位で使用可能な幹細胞用フィーダー(支持)細胞を開発! 〜幹細胞研究への応用を視野に〜

掲載日2019.3. 8

ニュース


 岩手大学理工学部生命コースの福田智一教授、国立環境研究所の片山雅史特別研究員、国立がん研究センター研究所の清野透主任分野長・部門長らの研究グループは、週単位で使用可能なフィーダー細胞*1の開発に成功しました。


 iPS細胞やES細胞*2などの幹細胞は、一般的な体細胞とは異なり、フィーダー細胞と呼ばれる支持細胞と一緒に培養することで、性質を安定させて培養ができます。このようなフィーダー細胞を無限分裂細胞*3から作出できれば、簡便にフィーダー細胞を作製することができます。無限分裂細胞由来のフィーダー細胞はこれまでも使用されてきましたが、長期間(具体的には週単位で)幹細胞を支持可能な無限分裂細胞由来のフィーダー細胞は開発されてきませんでした。本研究では以下の点を発見しました。
(1) ラットへ3つの遺伝子(変異型CDK4, CyclinD1, TERT*4)を導入して作出した無限分裂細胞(ラットK4DT細胞)を元に作製したフィーダー細胞は、週単位で培養皿に接着可能
(2) 週単位で使用可能な幹細胞用フィーダーは、G1期で細胞周期が停止し*5、p53*6の発現が阻害されないことが必要
(3) ラットK4DT細胞由来のフィーダー細胞は、マウスおよびラット由来の初代培養細胞と同程度の幹細胞支持能力がある


 本研究で開発した無限分裂細胞由来のフィーダー細胞は、幹細胞研究への貢献が期待されています。幹細胞は、再生医療や創薬研究はもちろんのこと、ヒトを含めた様々な動物の研究への応用が期待されます。近年は、絶滅危惧種への応用も視野に入りつつあり、多方面の研究分野への貢献が期待されています。


 本研究成果は、国際学術誌「Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Cell Research」に掲載されました。


[用語解説]
*1フィーダー細胞: 幹細胞培養の際に、幹細胞の増殖を支える細胞。
*2 iPS細胞、ES細胞: 人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cell)、胚性幹細胞(Embryonic stem cell)
*3 無限分裂細胞: 通常の体細胞は、数回の細胞分裂ののちに、「細胞老化」という現象により、細胞分裂が停止する。この細胞老化現象を回避させ、半永久的に細胞分裂を可能にした細胞。不死化細胞、株化細胞も同義。
*4 変異型CDK4, CyclinD1, TERT: 無限分裂細胞を作製できる遺伝子の組み合わせの一つ。変異型CDK4とCyclinD1の発現により、p16というタンパク由来の細胞老化シグナルが無効化され、TERTの発現によりテロメアーゼと呼ばれる、テロメア長修復酵素が発現する。
*5 G1期: 細胞周期の一つ。
*6 p53: 細胞周期関連のタンパク。
*7 SNL細胞: STO細胞(SIM mouse embryo-derived thioguanine- and ouabain-resistant fibroblast cell line)に薬剤耐性遺伝子やLIF遺伝子などを発現させた細胞。幹細胞研究に使用されている。

本件に関する問い合わせ先:
岩手大学理工学部化学・生命理工学科   福田 智一  
019-621-6375  

マウスES細胞培養結果