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日本野生動物医学会第25回大会における優秀口頭発表賞(学生部門)受賞

掲載日2019.9. 9

ニュース


概要

岩手大学農学部共同獣医学科画像診断学研究室の学生、渡辺寛治を筆頭発表者とする研究グループ(研究代表責任者:同小動物外科学研究室 准教授 福井大祐)は、令和元年8月30日に山口大学で行われた日本野生動物医学会第25回大会で優秀口頭発表賞(学生部門)を受賞しました。本成果により、あまり科学的に検証されておらず、発展途上にある鳥類の麻酔技術を発展させることにつながると期待しております。
本成果は、令和元年9月1日に受賞者に結果が通知されました。

背景

近年、日本のライフスタイルが変化する中、家庭で飼育される動物として、犬猫以外に、インコなどの鳥類も伴侶動物として普及してきています。一方、人間社会との軋轢を受け、野生絶滅したトキやコウノトリは保護増殖後の再導入により野生復帰が進められてきており、イヌワシなど絶滅の危機に瀕している野鳥も少なくありません。このような現状の中、伴侶鳥類の健康管理のため、希少鳥類の保全のため、より高度な獣医療が求められてきています。一方、現在の国内の獣医大学で高度な鳥類臨床を教育するカリキュラムや体制は構築されておらず、情報や技術が不足しています。ストレスに弱い鳥類、特に野生鳥類の取り扱いにおいて、鳥も人間も安全で効果的な麻酔管理法は、重要な技術となります。しかし、鳥類の麻酔管理法について、世界的にも対照実験を用いた科学的根拠のある研究報告は少なく、参照できる情報は多くありません。それ故、鳥類が麻酔事故で死亡する割合は、犬や猫より比べ格段に高くなっています。そこで、私たちの研究グループは、2018年から、鳥類のより安全で効果的な麻酔管理法の開発を目的として、研究を進めてきました。その一つとして、岩手県自然保護課と鳥獣保護センターと協働し、野生復帰が困難となったオオハクチョウを用いて、約10か月間、麻酔管理法の研究を行ってきました。本研究の目的は、鳥類の中でも特に高い麻酔技術が求められる水鳥かつ大型種であるオオハクチョウに対する有効な麻酔管理法を開発することです。今回、本研究の成果を取りまとめ、日本野生動物医学会第25回大会で口頭発表を行いました。

成果

日本野生動物医学会大会第25回において、「オオハクチョウにおけるイソフルランの最小麻酔濃度(MAC)とブトルファノール・ミダゾラムによるイソフルランMACの減少効果」と題した研究発表(要旨別紙)を行った結果、優秀口頭発表賞(学生部門)を受賞しました。発表者は、渡辺 寛治(1),石川 洋(1),樋口 まり(1),Patarakit Chongphaibulpatana(1),渡部 晶子(1),安齋 莉穂(1),大野 晃治(1),(2),伊東 理子(3),猪鼻 聡(3),福井 大祐(1)((1)岩手大学・共同獣医・小動物外科,(2)男鹿水族館GAO,(3)岩手県鳥獣保護センター)です。本大会における優秀口頭発表賞は、大会開催前に自身の研究内容を大会本部に対して審査対象として自薦したものから選出され、若手研究者を対象とした若手部門で3名、大学院生を含む学生を対象とした学生部門で3名がそれぞれ受賞するに至りました。

今後の展開

本研究の成果により、誰もが科学的根拠を持った情報として参照できる情報が増え、鳥類の麻酔技術のさらなる発展につながる可能性があります。今後、私たちが継続して進めて行く関連研究の成果として、鳥類の麻酔事故率をさらに低下させ、鳥にも人にも安全で効果的な麻酔管理法の開発が期待されています。これは、人と生活を共にしている伴侶鳥類や希少種を含む動物園の飼育鳥類の動物福祉や高度医療を適応した質の高い健康管理、また絶滅が危惧される野生鳥類の保全活動につながると考えられます。

本件に関する問い合わせ先:
岩手大学農学部共同獣医学科小動物外科学研究室   福井 大祐  
019-621-6981   dfukui@iwate-u.ac.jp