2025.03.20
賢治も学んだ「農業教育資料館」
岩手大学にある特徴的な建物の一つに農業教育資料館があります。この建物は、かつて宮澤賢治も学んだ盛岡高等農林学校の本館として使われていました。今回は、農業教育資料館の魅力を紹介します!
明治後期を代表する建築物
岩手大学農学部の前身である盛岡高等農林学校に関連する資料等を保管・展示している農業教育資料館は、青森ヒバを用いた明治後期を代表する木造二階建ての欧風建築物です。明治期の形を伝える国立専門学校の中心施設として現存する数少ない遺構の一つとして国の重要文化財に指定され、現在、1 階は展示室、2 階は大講堂となっています。1912年から1949年までは盛岡高等農林学校の本館として使用されていました。その後1973年までは岩手大学の本部でしたが、1974年に本部が移転した後、改修を経て1978年から農業教育資料館として現在に至っています。
大時計
建物の入口を入って真っ先に目を引くのが大時計です。スイス系時計会社コロン商会が組み立て販売したもので、1908年に購入されて以来100 年以上の時を刻んできました。時計の機械部分はフランス製で、壮麗な装飾がされた時計ケースは日本製です。
実験台と学生机
盛岡高等農林学校時代に使用されていた実験台と学生机です。学生時代の賢治もこの机や実験台で学修に臨んでいたと考えると非常に感慨深いですね。
農産加工品ラベル
写真は、盛岡高等農林学校の学生たちが実習も兼ねて製造・販売した農産加工品に使用されていたラベルです。ここで展示されているラベルの一部は、現在販売中の岩手大学オリジナル・クリアファイルのデザインにも使用されています!
大講堂
2階に上がると、そこには広々とした大講堂が待っています。ここには、賢治在学中に据えられたピアノや卒業生の集合写真、歴代校長の肖像画などが展示されています。また、この講堂は現在でも卒業式や講演会などの会場として利用されることがあります。
旧校長室
この部屋に入って最初に目に入るのが丸テーブルの会議机とアンティークな椅子、そして奥に目をやれば風格ある校長の机と椅子が見えてきます。壁面の掛け軸は歴代校長が書いた作品です。また、校長用の机の真向かいには貴重な書誌や寄贈図書などが納められている書棚も設置されています。
ポランの間
ここでは、映像と音声による館内案内を視聴したり、賢治の童話などを読んだりすることができます。案内動画を視聴したうえで館内を巡ると、より一層理解が深まります。壁面には岩手山を題材にした風景画も掛けられているので、背の高い椅子に座ってこの油絵を鑑賞しながら休憩するのも良いかもしれませんね。
ブンゼン燈
ブンゼン燈とは、ガスの流れにより無加圧の一次空気を吸引させる構造のガスバーナーのことです。現在も理科の化学実験等で使用されることがあるので、学校の理科室で実物を見たり使ったりしたことがある人もいるでしょう。このガスバーナーは賢治在学時にも授業の化学実験で使用されており、賢治の作品にもたびたび登場しています。例えば、歌稿『516』には「六月の ブンゼン燈のよわほのほ はなれて見やる ぶなのひらめき」という歌が収録されています。
「石っこ賢さん」と関豊太郎教授
賢治の研究に大きな影響を与えた関豊太郎教授は著名な土壌学者です。小学校の頃から石が大好きで「石っこ賢さん」と呼ばれていた賢治は、関教授の研究室「地質及土壌学教室」によく出入りして、教授が購入した岩石鉱物標本や岩石薄片標本などを観察していました (写真は岩石鉱物標本の一部)。賢治の書いた童話『グスコーブドリの伝記』に登場するクーボー大博士のモデルは関教授とも言われています。
旧正門・門番所
農学部の敷地内には農業教育資料館と同じく国の重要文化財に指定されている旧正門と門番所があります。門番所は「寄せ棟風八角」の造りで、建築文化にとって価値のある明治期の建物です。門番所は植物園の雰囲気とも非常にマッチしていて、どことなく幻想的な印象を抱かされます。農業教育資料館の見学にお越しの際にはぜひ立ち寄ってみてください。