2024.07.01
玉谷隆治さん・玉谷貴子さん(玉谷製麺所)|活躍する卒業生
岩手大学に進学された理由を教えてください
隆治 高校生の頃には、当時、興味をもっていた生物学の分野への進学も考えたのですが、やはり家業のことが頭にありました。そこで、「食」に関わる分野も同時に学べるようにと考えて、岩手大学農学部を選びました。当時、興味のあった分野も学べそうだったので、応用生物学科への進学を決めました。
貴子 当時、獣医学を学びたかった私は、いろいろ調べて岩手大学を見つけました。ただ、獣医学科はなかなかハードルが高そうだとわかりました。また、私の父は食肉関係の仕事をしています。良い牛肉というのは重なったところから酵素が活発化してどんどん黒くなってしてしまうのですが、これを何とかしたいという父との会話から酵素の勉強もしてみたいと考え、応用生物学科へ進むことにしました。父も携わっている日本の農業を応援している学部で学びたいという気持ちも岩手大学農学部を選ぶ後押しとなったと感じています。
心に残っている大学時代の思い出を教えてください
隆治 大学では研究室に入ってからの期間が一番楽しかったですね。専門的な知識や技術など、その当時の最先端のことを学ぶことができました。そういうところに携わっている先生方に教えていただいたことも、とてもいい思い出です。
貴子
やはり研究室で日々実験できたことが思い出深いです。新たなタンパク質を検出する方法を構築する研究をしていたのですが、温度を少し変えてみたら成功したという経験があります。私自身の機転を利かせて挑戦する姿勢は岩手大学の研究室で身に付けました。成功を一緒に喜んでくれた故・平秀晴先生や先輩との時間も人生の宝になっています。
そういえば、大学の敷地内で採ったフキノトウを実験室で調理して、ふき味噌を作ったら、平先生が大変気に入ってくれたことがありました。それから卒業後も手作りのふき味噌を平先生に送っていたんです。
東日本大震災直前に行われた平先生の最終講義にも子どもたちを連れて伺いました。その際、お土産としてヨモギ入りの冷麦をお渡ししていました。震災直後、その冷麦を研究室のみんなで食べたと連絡があったときには、少しでも役に立つことができたと嬉しかったことを覚えています。
大学時代の研究と今のお仕事との関連については、どのようにお考えですか
隆治 直接的に関係するものは少ないのですが、農学部で学んだことは、いまの「食」に関わる仕事に役立っています。原料となるものは農産物が中心です。商品開発をするにあたって、研究室で学んだ実験方法も生きていると思います。
貴子 岩手大学で研究した人間の免疫系の学びが、お客様の健康を守る麺づくりに役立っていると思います。また、岩手大学で学んだ植物学の知識も、これまで使ってこなかった素材を原材料とする際に生きています。例えば、「将棋駒パスタ」という商品には小さくて商品にならない摘果ラ・フランスを練り込んでいます。摘果ラ・フランスにはポリフェノールやGABAが含まれているのですが、パスタに練り込んでもそのまましっかり活きています。精神を安定させて次の一手を打つという、まさに将棋にふさわしいパスタということで生まれた商品です。こういうところに岩手大学で学んできたことを応用できています。農家の皆さんも捨ててしまうものを再利用して利益になるので、とても喜んでくれています。
どんな思いで取り組んでいらっしゃるか、やりがいについてもお聞かせください
実は、商品開発しようとして開発したのは「雪結晶パスタ」だけで、その後はお客様からリクエストいただいたものを作り続けています。雪結晶パスタは冬を象徴するものでしたので、多くのお客様から「今度は春のモチーフで作ってほしい」という声が届きました。そこでサクラパスタを開発しました。いつも「こんなパスタがあったらいいな」と夢を語ってくださるお客様がいらっしゃいます。
さまざまな素材を使えるのは農家の方々の協力があるからです。廃棄するにはもったいないものを何とか商品に生かせないか、そんな相談から始まった商品がたくさんあります。
この地域のニーズをいただきながら取り組んでいるという感じですね。これからも新しい商品をつくり、次世代へつなげていきたいです。積極的に海外への輸出もしていきたいと考えています。
岩手大学へメッセージをお願いします
隆治 岩手大学の卒業生は全国各地、多方面で活躍されています。これからもそんな活躍できる人を生み出し続けていただけたらと思います。
貴子 岩手大学で、挑戦すること、そして、チャンスを掴み取ることの大切さを学びました。挑戦することを恐れない学生をたくさん輩出できるような大学であってほしいと思います。