2024.11.22
溝渕郁夫さん(YUDAミルク㈱)|活躍する卒業生
溝渕さんが岩手大学に進学した理由を教えてください
溝渕 私は畜産を学びたかったので、農学部のイメージが強くあった岩手大学を志望しました。私は関西の生まれですが、実家から遠いところに住んでみたいという気持ちもありました。北海道にある大学への進学も考えていたのですが、親に「そこまで遠くには行ってほしくない」と言われたので、第一志望で合格した岩手大学に決めました。
心に残っている大学時代の思い出を教えてください
溝渕 学生時代は馬術部に所属していました。馬ばかりの生活で勉強はほとんどしなかったですね。4年間、自啓寮で寮生活をしながら、朝早い馬術部で活動する日々でした。当時、多くの寮生は夜遅くまで麻雀をやっていたことを思い出します。私は朝5時に起きるので、毎晩夜9時には眠くなっていました。
大学時代の研究とお仕事との関連については、どのようにお考えですか
溝渕
私は学部卒業後、北海道の動物医薬品の会社に就職し、1年半ほど勤めました。その会社では酪農のまちである標茶町や中標津町、別海町などを担当し、農業協同組合(以下、農協)の職員や獣医師など現場で働く人たちに出会いました。そういうなかで、もっと現場の仕事をしたいと感じるようになったのですが、私は勉強不足でした。そこで、もう一度、岩手大学の大学院で学びなおすことにしたのです。大学院では飼料学研究室で主に乳牛の餌の研究をして2年を過ごしました。その後は、北海道で仕事をしていた頃から農協の営農指導のような仕事をしたいという思いが強くなっていたので、岩手県内で採用してくれるところを探すことにしました。そして、現在の花巻農協(旧西和賀農協)が面接に応じてくださって採用されたんです。26歳の頃でした。
農協では酪農家指導をしていました。そこでは大学で学んだことがそのまま役に立ったと思います。現在のように牛乳・乳製品の仕事に関わるようになったのは農協に勤めて約20年が経った頃、湯田牛乳公社へ出向になってからでした。
溝渕さんにとって湯田牛乳公社はどのような会社でしょうか
溝渕
いま、時代は大きく変わっています。以前の当社の経営理念には「消費者と生産者の架け橋になれる企業を目指す」という一文がありましたが、現在では「つくりたいおいしさを信じ地域を超えた感動を届ける」という理念に変更しました。
当社は第三セクターとしてスタートし、旧盛岡市民生協(現いわて生活協同組合)の産直事業で大きくなりました。十数年前からはヨーグルトの需要が高くなりましたが、牛乳の売り上げは落ちてきているような状況です。そこで2018年に改めて企業としての在り方を振り返る機会をもうけました。会社の強みと弱み、どこに競合がいて、どういう力やモノがあるのかなどを徹底的に分析しました。その分析をもとに当社は何をすべきなのか、何を目指すべきなのかを考えたのです。「消費者と生産者の架け橋」という思いはこれからも変わりませんが、顧客との向き合い方については、岩手県のみならず全国に広げていく方針を決めました。これは大きな転換でした。
経営について振り返りを実施した結果、いま、市場が大きく変化するなかで、このまま第三セクターでは追いついていくことができない。私たちはその先を目指したい、という結論に至りました。そして、当社は2024年3月26日に民営化したのです。
この間、商品アイテムもかなり整理し、方向性は非常に明確になりました。これからも地域との結びつきは重要ですが、そのうえで当社の事業をどう拡大していくのかを重視しています。とくにプレミアム湯田ヨーグルトは旺盛な需要に応えきれていないので、重点的に進めているところです。約1年前に営業とマーケティングを担当する東京事務所を開設しましたが、製造はすべて岩手で担っています。牛乳・乳製品にはまだ作られていない製品もあるはずなので、新製品の開発も目指していきたいと考えています。
私自身は会社がつぶれないように努力してきただけなのですが、人にはとても恵まれてきたと思います。これまでは経営的に非常に厳しい状況が続いており、岩手大学から採用したくてもできる状況ではありませんでした。これからは採用も増やしたいですし、一緒に研究するなど岩手大学に様々な形で関わっていきたいと思っています。
岩手大学へメッセージをお願いします
溝渕 岩手大学は地方大学なので地域を大事にすることはもちろんですが、やはり学生が自由に発想できたり、さまざまなことに自由に取り組めたりする環境があるといいですね。学び直しもできるし、他の大学からも編入できたり、他の地域へも移ることができたりするような大学であってほしいと思います。私も一度就職した後に学び直して、別の仕事に就きました。その頃は会社を経営するなんて想像もしていませんでした。失敗してもいいと思います。いろんな人が集まる場所ですから、あまり縛られすぎない、縛りすぎない、そんな自由な雰囲気のある岩手大学であってほしいです。
インタビュー全文は、岩手大学創立80周年記念サイトからご覧ください。