農学部 応用生物化学科
宮崎雅雄
分子生体機能学
国立大学法人 岩手大学は、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学、英国リバプール大学との共同研究で、ネコのマタタビ反応に特徴的なしぐさとして見られる葉を舐めたり噛んだりする行動には、マタタビに対するネコの反応性を増大させる効果があり、マタタビの持つ蚊の忌避活性も強めることを解明しました。これは岩手大学宮崎雅雄教授、同大上野山怜子大学院生、名古屋大学西川俊夫教授、リバプール大学ジェーンハースト教授らのグループによる研究成果です。
ネコはマタタビを見つけると、葉を舐めたり噛んだり、葉に顔や頭をこすり付けたり、葉の上でゴロゴロ転がる、といった特徴的な行動を示します。これはマタタビ反応といわれ、1950年代にネコがマタタビラクトンと呼ばれる複数の化学成分を嗅ぐと起きる現象と報告されていました。研究グループは、昨年、マタタビ反応を誘起する強力な活性物質として新たにネペタラクトールを発見し、これに蚊の忌避効果があることも突き止め、マタタビ反応をしたネコは蚊に刺されにくくなる事を報告しました。しかし、マタタビを食べるわけでもない肉食のネコが、なぜ反応中にしきりに葉を舐めたり噛んだりするのかが分かっていませんでした。本研究では、ネコの舐め噛みにより葉が傷つくことで、ネペタラクトールとマタタビラクトン類の放出量が増加するとともに、これらの成分の組成比も大きく変わることを見出しました。さらに、この組成比の変化により、ネコのマタタビに対する反応性および蚊に対する忌避活性が増強することも分かりました。以上の研究結果は、ネコがマタタビに含まれている蚊の忌避成分を最も効果的に利用できるように巧みに進化してきたことを示していると考えられます。また、ネペタラクトールを活用した蚊の忌避剤開発において、蚊の忌避活性を増強するための重要な知見となることが期待されます。本研究は、Cell Pressが出版する科学雑誌「iScience」に令和4年6月15日午前0時(日本時間)に電子版で公開されました。
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