
獣医学部
星野有希
伴侶動物外科
岩手大学獣医学部附属動物病院外科の研究グループは、ウサギのMRI検査および脳脊髄液検査を行う際の麻酔方法について検討しました。
ウサギでは、全身麻酔中に呼吸抑制や低酸素血症が生じることがあります。本研究では、メデトミジン、ミダゾラム、ブトルファノールを組み合わせた麻酔(MMB麻酔)に際して、麻酔前および麻酔中に酸素を投与することの影響を調べました。その結果、酸素投与を行わない場合には麻酔中に低酸素血症が認められましたが、麻酔前から酸素を投与し、麻酔中も継続して酸素を供給することで低酸素血症を防ぐことができ、脳脊髄液の採取とMRI検査を実施することができました。
本成果により、ウサギのMRI検査や脳脊髄液検査を行う際の麻酔管理について、酸素投与の有用性が示され、ウサギの神経疾患の診断における安全な麻酔管理法となることが期待されます。
ウサギの臨床現場では、全身麻酔中に生じる呼吸抑制や低酸素血症が各種検査の際に問題となっていました。本研究では3種混合麻酔下において酸素投与を試み、安全な検査実施の可能性について検討しました。
5羽のウサギを用い、MMB麻酔を行った際の血中酸素濃度などを、酸素投与の有無で比較しました。また、酸素投与を併用した麻酔下で、脳脊髄液の採取とMRI検査を実施しました。
酸素を投与しなかった群では、5羽すべてで動脈血酸素分圧が低下し、低酸素血症が認められました。一方、酸素投与群では酸素飽和度が98~100%に維持されました。また、すべてのウサギで十分な麻酔状態が維持され、MRI検査と脳脊髄液採取を実施することができました。
本研究では健康な若齢ウサギ5羽を対象としているため、今後は年齢や健康状態の異なるウサギを対象とした検討が必要です。また、酸素投与中にも二酸化炭素分圧の上昇が認められていることから、酸素化だけでなく換気状態にも注意した麻酔管理が必要と考えられます。
題目:Medetomidine, midazolam, and butorphanol anesthesia with preoxygenation enables magnetic resonance imaging and cerebrospinal fluid examination in rabbits
著者:Yuji Uzuka, Masaya Katoh, Takahiro Nagumo, Akiko Yamazaki, Yuki Hoshino
誌名:American Journal of Veterinary Research
公表日:2026年5月4日