2024年11月6~8日に開催された第97回日本生化学大会において、連合農学研究科生物資源科学専攻生物分子機能学連合講座1年の日景瑠那さんが「若手優秀発表賞」を受賞しました。
日本生化学大会は、生化学の進歩普及をはかり、学術や文化の発展に寄与することを目的とした学会です。「若手優秀発表賞」は、各発表セッションで特に優れた発表を行った若手研究者1名に授与されるものです。
日景瑠那(連合農学研究科 生物資源科学専攻 生物分子機能学連合講座 1年)
cdsAと重複する配列によりコードされるMucAペプチドにより糖脂質MPIaseの生合成が低温下で発現誘導される
膜タンパク質が生体膜に挿入する反応には糖脂質MPIaseが必要です。低温環境でのタンパク質の膜挿入・膜透過反応は、生体膜の流動性が低くなるので進行しづらくなりますが、低温下ではMPIaseの発現量が上昇し、膜挿入・膜透過反応の低温感受性を抑制します。そのため、MPIaseは低温環境下での生育に特に重要となります。MPIaseの低温下での発現量上昇にはMPIase生合成酵素の1つCdsAが関わっています。CdsAは、CDP-DAGを生合成する酵素で、CDP-DAGはリン脂質の前駆体であるだけではなく、大腸菌のタンパク質膜挿入・膜透過に関与する糖脂質MPIase(Membrane Protein Integrase)の前駆体でもあります。
本研究では、cdsA遺伝子とほぼ完全に重複する遺伝子産物(約50アミノ酸)の発現が低温下でのMPIaseの発現量を増加させることを発見し、これをMucA(MPIase upregulation in the cold)と命名しました。MucAのように、あるタンパク質をコードする遺伝子に読み枠の異なる別のタンパク質の遺伝子がコードされている例は一部のウイルスを除いて初めての発見になります。
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