
本学農学部生命科学科の山田美和教授が天野エンザイム第27回酵素応用シンポジウム研究奨励賞を受賞しました。
天野エンザイム科学技術振興財団は、「ものづくり」の国、日本ならではの酵素利用の振興に貢献することを願い、産業界に影響を与える酵素の基礎または応用研究に対して研究奨励賞を贈呈しています。
酵素応用シンポジウムは2000年5月にスタートし、その後は毎年、多数の研究テーマから研究奨励賞が厳選され、当日には受賞者の講演が行われます。さらに、シンポジウムでは、異分野のトピックスや文化的な内容も企画講演として提供されています。
詳細は、天野エンザイム科学技術振興財団のホームページをご参照ください。
https://www.amano-enzyme.com/jp/corporate/foundation/symposium/
「生分解性ポリアミド(PA)分解酵素研究による環境中のPA 生分解機構解明」
山田 美和
軽くて丈夫なプラスチック製品の普及は、我々の生活を豊かとしましたが、その丈夫さが原因となり、廃棄プラスチックの環境中における蓄積が深刻な問題を引き起こしています。この問題の解決策として、環境中で速やかに生分解されるプラスチックの開発が盛んに行われています。山田教授らの研究グループは、生分解性ポリアミドであるポリアミド4(PA4)に着目しました。PA4は、広く利用されている難生分解性プラスチックのナイロン6と化学構造が類似するにも関わらず陸海の両環境で良好な生分解性を示し、バイオマスを原料とできるバイオプラスチックでもあることから、PA4の実用化が強く期待されています。しかし、環境中からPA4分解酵素が特定された例はこれまでになかったため、本研究では、陸海の両環境から新たなPA4分解菌の単離と世界初のPA4分解酵素の特定・諸性質解明を試みました。
自然界からのPA4分解菌の探索
多数の土壌サンプルや、PA4フィルムを実海域へ浸漬し回収したフィルムの表面から、PA4分解菌の単離を試み、陸海の両環境から複数のPA4分解菌を単離することに成功しました(1, 2)。さらに、これまでPA4分解能力を有する海洋細菌は1種しか報告されていませんでしたが(3)、本研究では海からPA4分解菌を新たに14種単離することに成功しました(4)。また、海洋環境のPA4分解菌が産生するPA4分解酵素の構造には多様性があることも見出しました。
世界初となるPA4分解酵素の特定とその諸性質解明
酵素の精製法を検討し、土壌より単離したPseudoxanthomonas sp. TN-Nと、海洋より単離したPseudoalteromonas sp. Y-5の培養液からPA4分解酵素の精製に成功しました (1, 2)。さらに、両酵素はPA4のアミド結合を加水分解して γ-アミノ酪酸 (GABA) オリゴマー (2~4量体)へと分解するエンド型の分解酵素であることを明らかとした(図)。これらの酵素は、PA4分解酵素を特定した世界で初めての報告です。
【参考文献】
1. Sasanami, Y. et al., (2022) Polymer Degradation and Stability, Vol. 197: 109868-109868
2. Saito, Y. et al., (2023) Polymer Degradation and Stability, Vol. 215,110446-110446
3. Yamano, N. et al., (2019) Polymer Degradation and Stability, Vol. 166, 230-236
4. Saito, Y. et al., (2024) The Journal of General and Applied Microbiology, Vol. 70: 136-140